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【笑える?笑えない?】『人志松本のすべらない話』のカンニング竹山と前田健の話の感想

matome.naver.jp

 

先日放送された『人志松本のすべらない話』でカンニング竹山さんが話した前田健の葬儀でのエピーソードが「笑えない」「不謹慎」だと話題になっています。

 

そのエピソードというのは「前田健さんの葬儀でカンニング竹山さんのことをマエケンさんんが好きだったということをお父さんが号泣しながら竹山さんに打ち明ける」というものでこれが、「同性愛者を馬鹿にしている」「人の死を笑い者にするな」「遺族である父親の気持ちも考えろ」と疑問の声が上がっているというのです。

 

竹山「去年に、僕の親友だった前田健ていう芸人が亡くなっちゃったんですね。彼と僕は同い年でテレビ出だした時期も一緒で、色んな悩みとかも相談して、まぁ親友みたいなもんだったんですね。で、彼はテレビで俺の事が好きだってのもよく話してたんですよ。まぁ、男が好きなマエケンでしたから。

そんなマエケンが去年の5月に突然亡くなっちゃったんですけど、あまりに突然で僕もどうしようか戸惑っていたら、友達の青木さやかから連絡来て『葬儀は何日か後にやるんですけど、とりあえず今晩マエケンさんの実家で身内だけが集まる仮通夜があるので、竹山さん大丈夫だと思いますよ。(特に親しかった竹山さんなので身内だけの集まりに行っても大丈夫でしょう、という意味)』と。

で、夜、仕事終わってから初めてマエケンの実家に行ったんです。そしたらもう、普通のお葬式ですよね。近所の方とか親戚の方がいっぱい来てる。

で、マエケンのご遺体の寝ている頭のところにお父様が座ってらっしゃった。

僕、初めてマエケンのお父様を観たんです。まぁ、お父様がご立派な人で、弔問に来た人に『健はね、頑張りましたよ』『健は人生まっとうしましたよ。』って一言ずつをかけてて、感動したというか、ああ、お前良い親父に育てられたなぁって思ってたんですよ。

(この後、マエケンのご遺体が生前いつもかぶってた帽子を脱いだ状態で思った以上にハゲてたけど笑っちゃいけないから我慢しながら順番を待った、というくだりがあるが省略)

で、やっと自分の番が来たんですよ。ものすごく悲しかったですよ、親友が亡くなっちゃって。で、香典出してご焼香してたらその気丈なお父さんが急に『う“ぅぐうぅー』って泣きだしたんですよ。で、僕の手をこうグワーと掴んで『竹山くん!竹山くん!!』って。

周りの方たちも気丈なお父さんが急に泣き出したから『えっ?』ってなってたら、お父さんが『竹山くん!竹山くんっ!!健はね…竹山くんのことを愛してたんだよお!!!』(ここで会場大笑い)」

松本「話変わってきたね」 

千原Jr「親公認だったん(笑)」

竹山「いや、知らねぇし。周りの人も『ええっ?』って…(会場の笑い続き)

で、すいません!すいません!っつって逃げ出したって話です(笑)」(会場爆笑)

松本「あ、そうだったんやな、ちょっとそういう想いが強かったんやなー。」

竹山「だからマエケンはお父さんに話してたんですかね。」

松本「好きな人がいるって」(会場笑う)

竹山「そう、好きな人がいるって(笑)でも僕お父さんと会ったこともないし、いきなりお父さんにそれお葬式で言われても…(苦笑い)」

 人志松本のすべらない話より引用

 

個人的な感想

視聴者が言う「同性愛者を馬鹿にしている」「人の死を笑い者にするな」「遺族である父親の気持ちも考えろ」に関して、私は非常に納得の行かない部分があります。こうして文章に起こすとたしかに竹山さんが同性愛者であるマエケンさんの好意を卑下し、苦しい想いのなか打ち明けたお父さんを笑い者にしていると捉えられてもおかしくはありません。

しかし、番組を観ている人なら分かる通り、竹山さんはトークの前段として、「芸人仲間である親友の前田健」ということをはっきりと言っています。この二人の間にある「信頼関係」を無視して話の一部分だけを切り取って伝えてしまう最近のネットニュースに私個人はとても憤りを覚えるのですがそれはまた別の機会に話すとして、重要なのはこの話の一番笑いどころである「お父さんが葬儀中にもかかわらずいきなり面識のない竹山さんの前で息子の想いを打ち明ける状況と、それに戸惑う竹山さんの滑稽さ」という滑稽さであって、決して故人を貶めているわけでも、お父さんを馬鹿にしているわけでもありません。

それどころか「カンニング竹山」という一人お笑い芸人を紐解いていくと、彼は古くに相方である中島さんを亡くしていて、親しい友人が死んでしまうつらさというのは誰よりも理解している人だと私は思います。そんな彼が、芸人・前田健の話を死んでもなおこの「人志松本のすべらない話」という大舞台で話すということは彼なりに相当の覚悟と決意で臨んだというのは少し考えれば分かることですし、例えば彼はNHK、Eテレの『バリバラ』という障がい者をテーマにした番組に出演していて、世間的にマイノリティーである同性愛者を笑い者にするなんてことはありません。

こうした背景を無視し、一部だけを切り取って「不謹慎だ」「笑えない」と竹山さんを叩くという行為は本当に愚かで恥ずべきことですし、そんなことを前田健さんやお父さんが望んでいるとは思えません。

たしかに話だけを見れば竹山さんが話したトークを単純に「面白くなかった」というのは当然です、一人ひとり「笑いのツボ」と言うのは違うのですからそれを否定はできません。しかし、ただ自分の正義感やジェンダー観を振りかざしたいがためだけに、竹山さんの人格を否定するのは、仮に100歩譲って竹山さんが「前田健さんとお父さんを馬鹿にした」というのが事実だったとしても、それはカンニング竹山さん以下の行動なのではないかと私は思います。

今回の「人志松本のすべらない話」はカンニング竹山さんをはじめ、宮川大輔さんが話した「ほっしゃんの話」や綾小路きみまろさんが話した「カツラの話」など、一般的には「笑ってはいけない」話が多かった回でした。しかし個人的な意見を言えば、そんな悲しみや辛い体験、悩みやコンプレックスを「笑い話」として笑い飛ばせるこの世の中は素晴らしいと思いますし、今回の芸人さんたちが話した「すべらない話」はどれも面白く腹が痛くなるほど笑いました。

最後に全ての芸人さんに尊敬の念を込めてこの言葉で締めます。

「すべらんなぁ〜〜」

記:やかん大魔王

 

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